いいえ、その日は舞台なので。

舞台へ通う金欠庶民の感想ブログ

ストーリー・オブ・マイ・ライフ 感想

f:id:tigira_it:20191116121455p:plain

10/13 マチネ

10/16 マチネ

読売大手町ホールにて

 

同じ役を相互に演じるということでどちらのキャストパターンも取っていたのですが台風の影響でまりおアルヴィン×平方トーマスしか観られませんでした。同キャストでの再演お待ちしております。

 

[あらすじ]

人気短編小説家のトーマスは、幼なじみのアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷へ帰って来る。しかし、葬儀が始まるというのに、アルヴィンへ手向ける言葉が思い浮かばない。すると死んだはずのアルヴィンが目の前に現れ、トーマスを自らの心の奥深くへと導いていく。そこには延々と続く本棚があり、トーマスの思い出と積み重ねた人生の本当の物語を書いた原稿や本が存在していた。アルヴィンは、その中から弔辞に相応しい2人の物語を選び、トーマスの手助けを始める。しかし、トーマスはそれを拒み、助けを借りずに弔辞を書くと言い張るが、アルヴィンは気にもとめず、次々と物語を選び、語っていく。果たして、弔辞は完成するのか・・・。
いくつもの物語が語られるにつれ、2人の間に存在した数々の埋もれてしまっていた小さな結びつきが明らかになっていく。
アルヴィンとトーマスが子供時代に育んだ絆と生涯を通じて築き上げた友情の物語。

 

最初の10分程度は退屈でした。個人的に天真爛漫で規則性のない子供らしい性格の人物を好まないので過去の学校の話あたりは無でした。メロディーがキャッチーなものでなかったのも一因かも知れません。

アルの衣装はあれにする必要ありました?あまりにもあざとい(悪い意味で)。母のローブをハロウィンの仮装として着るのは人物描写として必要性があるけれど常時あの衣装でなくても良かったのではないかと思います。チラシのヴィジュアル素敵でしたし…

 

自分の感想一発目は「鉛の生クリーム粉糖かけ苺ジャムを添えて」でした。切ないと言うには重すぎて悲しいと言うには優しすぎる。この演目を悲しいけれど美しい友情のハッピーエンド物語と捉える人と執着と愛憎の物語と捉える人がいて両極端な印象です。

管理人はアルがポルノ雑誌に興味を示さないこと、別れ際にトムへキスをすることから友情以上の感情があると思っているのですがそれを純愛とするか執着とするかでまた意見が変わりそうですね。キスの場所→耳の下(首へのキスは執着 耳へのキスは誘惑)ということを踏まえると後者が強いかなと思っています。

 

アルはトムに才能がないことを分かっていたし自分がトムの作品の糧になっていることを自覚していたのにそれを言わなかったというのも大きいです。アルのあの天真爛漫な性格からして自覚があったのはかなり意外でした。トムへの惜しみない賛辞は何だったのでしょうね…?嘘では勿論ないでしょうが事実と真実は異なりますからね。

アルはトムが自分から離れたらダメになることを知っていた、なのに何も言わずに手放した。無数にある道の中からトムが破滅を選ぶのを静かに待っていたように思います。自分と一緒に居られるチャンスは何度もあったけれどトムはそれを選ばなかった。だから仕方がない。手放したのはトムの為ではなくアル自身の為、一種の破滅願望、自傷に近いような。スリルミーかな?

すべてはトムの記憶を頼りにした話なので事実とは限りませんが、事実でなければトムの自責の念による責任転換がそう見せているのかな。

 

本編とは別に『1876』が尋常じゃなく好きです。「こんなの書けたら格好いいな」という歌詞が全管理人に突き刺さってそのまま死ぬ。創作を一度でも夢見、努力をした人全員に刺さると思います。憧れと畏れと愛慕と祈りに似た何か。この1曲だけでチケット代の価値があります。

 

今回地方もあってとても良かったのですが大阪3、東京12,水戸2、名古屋2(同役相互なので実質÷2)と公演数がかなり少なかったので再演時はもう少し延ばして貰えると嬉しいですね。2人芝居なので負担が大きくなってしまうかも知れないけれど…できれば200〜300席くらいの規模で上演してくれるととても嬉しいなぁ