いいえ、その日は舞台なので。

舞台へ通う金欠庶民の感想ブログ

INTO THE WOODS 感想

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1/15 ソワレ

日生劇場にて

 

<キャスト>

赤ずきん

赤ずきん羽野晶紀
シンデレラ

シンデレラ:古川琴音

継母:毬谷友子

継姉:湖月わたる

継姉:朝海ひかる

王子:廣瀬友祐

執事:花王おさむ

ジャックと豆の木

ジャック:福士誠治

母親:あめくみちこ
塔の上のラプンツェル

ラプンツェル:鈴木玲奈

王子:渡辺大


ナレーター(謎の男):福井貴一
パン屋(夫):渡辺大

パン屋(妻):瀧内公美
魔女:望海風斗
巨人(声の出演):麻実れい

 

<東京公演>日生劇場
2022年1月11日(火)~ 31日(月)

S席:13,500円 A席:9,000円 

 

<大阪公演>梅田芸術劇場メインホール
2022年2月6日(日)~ 13日(日)

S席:13,500円 A席:9,000円 B席:5,500円 

 

<あらすじ>

村の小さなパン屋の夫婦には、子どもが授からない。なぜなら、魔女の呪いがかけられていたから。「呪いを解きたければ、森へ行ってとってきな。一、ミルキーな白い牛、二、血のように赤いずきん、三、黄色いコーンの髪、四、きらめく金の靴。三日後の真夜中の、鐘が鳴るまでに」。

森を目指したパン屋夫婦が出会うのは、赤ずきん、シンデレラ、ジャックと豆の木ラプンツェルほか、それぞれに充たされない人生の宿題を抱えた、おとぎ話のおなじみの登場人物たち。彼らの前には、魔女の呪い、巨人族の怒りが立ちはだかるが、それだけではない。本当の敵は、誰もが自分だけの幸福を願うがゆえの、ジェラシー、妨害、うそ、策略のわな…。チャーミング、ファンタスティック。だけどちょっぴりシニカルでダークなミュージカルをあなたに。

[引用元:https://www.umegei.com/itwoods2022/index.html#schedule]

 

 

久し振りの観劇でした。

今回はイントゥ・ザ・ウッズ。前情報をほとんど入れずに観に行ったのでオムニバス形式の舞台だと思っていたのですが、「有名童話の登場人物が同じ世界線の住人だったら」というような内容でした。

パン屋の夫妻は童話の人間ではないと思われますが、この夫妻が主人公のような立ち位置です。

魔女の呪いにより子供を授かることができない夫妻は呪いを解くために必要な4つアイテムを3日間で集めます。その過程で各登場人物と出会うというのが一幕の流れです。

1 ミルキーな白い牛⇒ジャック

2 血のように赤いずきん⇒赤ずきん

3 黄色いコーンの髪⇒ラプンツェル

4 きらめく金の靴⇒シンデレラ

 

まず良かったところですが、なんといっても魔女役の望海さんですね。見目麗しく、歌良し、セリフ良し、役良しの完全無双状態でした。アクロバティックな動きもお見事。

個人的には廣瀬渡辺の残念プリンス兄弟が最高に愛しかったです。本作では“シンデレラ”の王子(廣瀬さん)と“ラプンツェル”の王子(渡辺さん)は兄弟という設定。

お二人ともお顔が良いのに見事に残念で…イケメンを無駄遣いすることに一切の躊躇いがない。

渡辺プリンスが廣瀬プリンスを「兄上」と呼ぶのが好きでした。

廣瀬さんはオオカミ役もされていますよね?オオカミもパンクロックで格好良かったです。綺麗な遠吠えだったので一瞬録音かと思いましたが生声なんですよね?

 

全体としてはこれは日生でやるべき演目なのか?というのが正直な感想でした。生演奏が勿体ないような。

正直この演目を役者さんを知らない人が観て面白いのか分かりません。例え終演後にチケットを破いて暴れている人がいたとしても「せやな!!」としか思えないです。

自粛期間を経て管理人の耳が退化した可能性はありますが、何を言っているのか分からない部分も結構ありました。

また、童話をモチーフにしたお話ですがお子様には全然お勧めしません。不貞や下ネタもあるのでそういうのが苦手な方も。

そもそも物語の発端となる魔女がパン屋に呪いをかけた経緯が、パン屋(夫)の父親が魔女の農作物を盗み、レ○プし、家宝の魔法の豆を盗んだというどうしようもねぇ事情なので、息子夫婦に罪はないとはいえ全然応援できないんですよね…。

 

ストーリーとしても順々に童話の人物が登場する訳ではなく、一斉にそれぞれの物語が進むので舞台上がガチャガチャしていることが多く、そのためナレーターがほぼ機能していません。

ストーリーテラーであるナレーターが物語に干渉する」という面白い演出もあるのですが、ナレーターが埋もれてしまっているのであまり効果的ではないと感じました。

童話のことはある程度みんな分かっているのだから後ろのボリュームを落としてナレーションをもっと聞かせて欲しかったなぁ。

童話の終わりと同じハッピーエンドで一幕は終わります。

 

 

二幕はざっくりいうと“ジャックと豆の木”の巨人が夫を殺され宝を奪われたことに怒り、地上に来て復讐をするお話です。

物語の主題として「幸せになった主人公たち。しかしその幸せは誰かの不幸せの上にできている」ということがあるようなので、これは戦争のお話なのか?と思い始めました。

 

夫を殺した犯人を差し出せと言う巨人にジャックを差し出すか差し出さないかと揉めてわちゃわちゃする登場人物たち。

巨人が空から降りてきたのはシンデレラが豆をそこらへんに捨てたから。ジャックが巨人の元に行ったのはパン屋に騙され牛と豆を交換したからで、パン屋がジャックを騙したのはアイテムを集めるためで、アイテムを集めるのは魔女の呪いのせいで、その呪いはパン屋の両親が発端で。

 

そのうちにもバッタバッタと人が死んでいき復讐するのしないのと話はこんがらがっていきます。散々揉めた挙句最終的には巨人を倒してしまうのでそこは不満な点でした。正義とは一体何なのか。巨人は多くの人を殺したけれど原因を作ったのは人間な訳で。

卵が先か鶏が先か。ある一点をスタートとしてそれ以前のことは綺麗さっぱり忘れて復讐はしちゃダメだなんて随分と自己中心的な話だよなと。

管理人は過去の戦争を理由に特定の国の人を忌み嫌ったりはしないタイプなのですが、こんな風に言い換えると無茶なことを言っているなと感じますね。人類が短命で良かったなと思います。

 

そんな意味が込められていたかは分かりませんが、そんなことを思った観劇でした。

魔女と残念プリンスだけはみんなに観て欲しい!でも演目の半分くらいはお歌が地獄なので全然勧められない。良かったら観てみてください!(最低な宣伝)