いいえ、その日は舞台なので。

舞台へ通う金欠庶民の感想ブログ

タージマハルの衛兵 シアタートーク

12/17 マチネ

新国立劇場にて

 

 

司会の中井さんに紹介され小川絵梨子さん、小田島創志さん、成河さん、亀田佳明さんの順番で登場。男性組は小田島さんを先頭に肩に手を置いて一列になり電車ごっこのように登場しました。

 

成河さんと亀田さんはモコモコしたタオルキャップとスリッパを身につけており「凄いお風呂上がり(みたい)!」と中井さんからツッコミが。

公演で水を多く使うので風邪を引かないようにと絵梨子さんがご用意されたものだそう。その他にも袋いっぱいのタオルや毛布を用意された絵梨子さん、「ごめん百均なんだ!」と言っていたと成河さんにバラされていました。

 

それぞれにご挨拶。

成河さん「今日は本当にありがとうございました。トークは45分でしたっけ?え?90分?」

勝手にトークを延長させる成河さん※45分です

 

絵梨子さん「本日はお忙しい中ありがとうございます。嬉しいニュースがあるのでこの場をお借りしてお伝えします!紀伊國屋演劇賞に亀田さんが選ばれました!わ〜!」

喜びの舞を踊る絵梨子さん。亀田さんと成河さんの3人でハグ。

身長 亀田さん>絵梨子さん>成河さんで綺麗な並びに(笑)

 

 

Q.翻訳にあたって小田島さんに依頼をしたきっかけは?

絵理子さん「三代目(小田島さんのことを三代目と呼んでいるそう)とは『かもめ』という作品で関わりがあり、その時の訳が素晴らしかった。若い方に新国立劇場を使って頂きたいという気持ちもあり依頼させて頂きました」

 

小田島さん「名前で呼んで貰えないんですよね(笑)

(ご自分のあだ名とかけて)ムガル帝国は三代目の時代が一番良かったので、そんな三代目のお話を訳させて頂けて幸せでした」

 

 

Q.二人芝居なこともあり、内容的にもかなり大変では?

成亀「「大変ですねぇ」」

 

成河さん「でも、とにかく風邪を引かないようにと周りの方々が本当に気を使ってくださって。控室には加湿器があって暖かくて毛布もあって…都内で一番快適なスペースだと思います(笑)家に帰る方が肌寒いくらいで(笑)」

 

 

Q.この戯曲を選んだ理由は?

絵梨子さん「ことぜんということを考えた時にこの作品が浮かびました。でもこのキャストじゃなかったら戯曲は変えていたと思います。どちらがどちらの役を演じるのか決めていない状態でのオファーだったのでそれで引き受けてくださったのは本当に有り難いです。

普通は受けてくれなくて…変なことに拘ってしまっているようなところがあったり…名前の順番とか…余計な仕事が早く無くなればいいなって…」

 

小田島さん「誰の悪口ですか!?」

 

成河さん「しっ!やめなさい!」

 

会場笑い

 

 

Q.成河さん、亀田さんの印象は?

成河さん「ラジオドラマでご一緒した時はほとんど話す時間も無くて、稽古が始まる前は怖い人なのかなー?と思っていました。

(亀田さんが発言しようする)あっ待ってちょっと先に良い?僕たちつむじが2つあるんです!!」

 

亀田さん「そう!!自分以外に(つむじが2つある人に)初めて会ったんですよ!!」

 

会場笑い

 

会場でつむじが2つある人?と挙手を求めるとパラパラと手が上がる。

成河さん「あっ結構いる!?いやでもこの人数でこれくらいの割合なので!凄いことです!」

 

亀田さん「一週間前くらいに知りました(笑)」

 

 

Q.亀田さん、成河さんの印象は?

亀田さん「言葉もよく回るし体も動くし本当に凄い俳優だなという印象でした。僕としてはこの戯曲、この役、このお相手でオファーを断る理由がありませんでした」

 

 

Q.セットについて

絵梨子さん「セットは割と最初から(案が)あったのですが途中で変化が沢山ありました。警備をするシーンは元々壁は無く暗闇にするつもりでしたが、美術さんがとても素晴らしいものを作ってくださったので使おうということになりました。

手とか作るの本当に大変だったと思う(泣)手がいっぱい入ったカゴは海外では作ってないんですって!びっくりしちゃった。書いてあるからやったのに(´・ω・`)

 

会場笑い

 

絵梨子さん「ラジヴが『凄いね!初めて見たよ!とっても良いね!』って。書いてあるのに!(笑)」

 

 

 

Q.役が決まったタイミングは?

読み合わせ中は色々な組み合わせを試したが稽古初日には決まっていたそう。

 

亀田さん「最初は交互にやれば良いのにって言ってたんだけど…

成亀「とんでもないねぇ〜〜」

 

成河さん「本国では交互にやったんだよね?ラジヴが言ってた。でも多分最初はどちらかの役を固定でやったんじゃないかな。同時に1からやるのは…。半年とか期間があって少しずつやるならまだしも最初の段階からって…よくないと思うなぁ!」

 

会場笑い

 

成河さん「でもちょっと楽しいかもって思っちゃったけど!(笑)」

 

 

Q.どちらがどちらの役を演じるかは最初からイメージがあったんですか

絵梨子さん「最初から成河さんがフマーユーン、亀田さんがバーブルというイメージはありました。何度か読んで頂いてやっぱりこれで行こうとお伝えしようと思ったら成河さんが「言わないで!」って(笑)

えっいつ言えば良いんだろう…と思ったことが忘れられません(笑)」

 

亀田さん「(笑)でもそれによって少し役と距離を取れたというか作品を俯瞰して見る時間が増えたので凄く良かったと思います」

 

 

Q.自分の演じる役についてどう思いますか

成河さん「今は自分そのものにしか思えないですけど、彼の抱えるコンプレックスと自分の抱えるコンプレックスとを重ねながら日々過ごしています。願いとしては、彼の持つ葛藤は特別なものでは無くどこにでも誰にでもあるものだと思って貰えれば良いなと思っています。僕も親父が結構強いので‥(笑)

コンプレックスと向き合う切っ掛けをくれる役だと思うし、絵梨子さんがどんどん扉を開いてくださる。閉じたり目を背けて別の事で何とかしようとするところを「そこを開いてください」という稽古をしてくださるので、そこを重ねられたらと思います」

 

 

Q.フマーユーンとバーブルの関係について

成河さん「フマーユーンにとってバーブルは多分大スターですよ!絶対に言わないけれど憧れの存在だと思います。格好いいなーとか思いながら…三場とか髪を濡らしながら入ってくるのを見て格好いいなぁと思っています。氷室京介みたい!って」

 

会場笑い

 

成河さん「二人ともコンタクトなんですけど、血でコンタクトがうっすら赤くなってたりして。赤いカラコンにオールバックで凄い格好いい(笑)」

 

亀田さん「二人は一見両極端に見えるけれど根っこは繋がっている部分があるというか。美に対してもバーブルは自然の美は否定するけれど人工的な美は肯定する。フマーユーンは自然の美が美しいと言う。筋が通っている様で通っていない役柄で、二人を繋いでみるとまた一つ違うものが見えて来たりする。それが面白いですよね」

 

 

Q.ラストに向けての構成は最初から決めていたのですか

絵梨子さん「最後の鳥が爽快になるかどうかでこの芝居が終わるかどうかが決まると思っていたので難しい部分でした。ノスタルジーになってしまったら駄目だし‥

ラジヴに難しいと言ったら『難しよね!ははっ』と笑っていました」

 

 

Q.プレビュー公演から変わったところは?

絵梨子さん「沢山変わったところはありますが、ラストのフマーユーンの衣装が変わりました。プレビュー公演ではオレンジの衣装で政権が変わった(けれどフマーユーンは何も変わっていない)ことを表したのですが、衣装に目が行き過ぎて夢なの?なんなの?となってしまいかねないので、情報を精査して少なくした方が良いと変更しました」

 

その他にも一場の立ち位置が三場、五場と比べて前方に変わったとのこと。(実演してくださいました)

 

 

Q.好きなセリフやシーンはありますか

成河さん「(かなり悩んだ後で)訛っちゃいけないって言われてるのに訛った『ワニ』?」

 

亀田さん「(大笑い)」

 

小田島さん「あそこの原文は『今のなに?』『蝙蝠』で、英語の音にするとリズム遊びみたいになっているんです。その後のト書きに二人は微笑むと書かれていて、二人の間では面白い言い回しというか、もしかしたら昔から言っていたんじゃないかと伺えるフレーズなんです。それを日本語にしようとした時にどうしようかと思って‥稽古場で生み出したのが『今のなに?』『今のワニ』です」

 

成河さん「プレビュー初日は普通に言ってたんだけど、『今のなに?』『今のワニ』\だから何?/みたいになって(笑)」

 

会場笑い

 

成河さん「ちょっとラグがあって‥二人でほほえ‥え‥?みたいな‥(笑)」

 

亀田さん「どうせ分かんないよね(投げやり)みたいな(笑)ちょと訛るようになったら伝わるようになりました」

 

成河さん「亀ちゃん嬉しそ~な顔してんの(笑)」

 

亀田さん「ウケたよ!(*・∀・*)」

 

 

Q.演じていて役に憑りつかれるようなことはありますか

成河さん「絵梨子さんが『演じ方は無限にあるけれど役の弁護士になってあげてください』というお話をされて、それが僕は凄く好きです。憑りつかれるとか成りきるとか色々な言い方がありますがその役を一番理解してあげられるのは自分だけ。たとえ間違ったことをしたとしても弁護してあげる、そういう感覚でいようと努めているので‥。そういう意味でどうしたら分かってあげられるのかなと日々考えて過ごしている感覚はあります」

 

亀田さん「役の事は稽古が始まる前からずっと考えてはいます。役を愛していく作業なので。成りきるということは無いけれど僕自身がどういう風に愛していけるかというのは考えていますね」

 

 

Q.翻訳について

この戯曲は難しい英語は使われておらず、今の若者が使っているようなノリの軽さがある。訛ってはいけない(場所を限定しない)と書かれていることからも普遍的なものにしようという意図が感じられる。翻訳は読み合わせの際にみんなで意見を出し合った。5時間やって4ページしか進まなかった日もある。

排水口が詰まっているシーンは『排水口は?』と訳せるところを『排水口の穴は?』と訳すことでその後の「持ち運びできる穴」に繋げている。

 

小田島さん「いわゆる訳し過ぎという現象ですが、本来原文が含んでいたかも知れない意味がすり抜けてしまうことが非常に怖いです。『目が見えない→見ないようにしている』とか『剣が手から離れない→幻聴を取り除けない』とか、考えると色んな意味があるんですよね。原文の豊かさをそのまま訳していくのがとても大変でした」

 

今回はスラッシュといって訳の候補を残しておいて、稽古を進めていく中で決めていくという手法をとった。

「スラッシュが出てきたのは発明だった!」と、話したくて仕方がなかったというように笑顔が溢れる成河さん。

 

 

Q.最後にお客さんに伝えたいこと

小田島さん「観に来てくださった方が考えてくださるというのが一番の芝居だと思います。今の日本や世界が見えてくるような芝居なので、この芝居を通して現状を考えるきっかけにして頂ければと思います」

 

成河さん「ありがとうございますというのが全てなんですが‥皆さんと一緒に考えるのがお芝居なんだなと痛感しています。ただその為にこちら側で用意するべきクオリティーというものが絶対的にあって、それをきちんと用意するためにはこれだけの期間と熱意と妥協の無い作業が必要なんだと身に沁みました。

プレビュー公演は僕にとって稀有な体験で、皆さんを代表してここに立せて貰っているだけなんだという感覚に‥まだまだ至れていないですが、皆さんの頭の中を借りながら一つの考え方について喋っているんだ、という感覚を味わって楽しんでいるところです。

舞台上と客席との壁が無いようにしたいなと。行儀よく観ないでくださいと言うと変なんですけど、自由に楽しんで、良いエネルギーも悪いエネルギーも投げて頂けたらと思います」

 

亀田さん「自分が客として客席にいる時に舞台上と客席とに違う空気があって、それに違和感を感じることがあります。だからこそ自分がこちら側にいる時はできるだけ舞台上と客席とが同じ空気を吸えたらなと思っています。今回自分がこだわりたいことやお客さんと繋がっていきたいという気持ちに凄く挑戦できました。同じ目線で同じ空気を吸いながら、相手役とカンパニーとお客さんと一つの囲いの中で同じものを共有していくということを継続して挑戦していきたいと思います」

 

絵梨子さん「プレビューで多くの方がアンケートを書いてくれたことが涙が出るくらい嬉しかった。発信する側と受け取る側とで分かれてしまうのはどうかと思っていて、舞台の良さ、シェアできるというのが贅沢で素敵だなと思うんです。素敵だなと思わせて頂けているのは皆さんのおかげだと思います」

 

 

~宣伝タイム~

小田島さん「今四人で着ているこのTシャツがロビーで販売していますので良かったら是非」

 

成河さん「これ新国立で物販を始めて作っているそうなんですけど、これ、ヤバいらしいです。このままの売れ行きだと無くなっちゃうかも知れないんです!皆様のご協力が必要です!悲劇喜劇とあわせてお買い求めください!」

 

中井さん「パンフレットも‥ってなんか販促みたいに(笑)」

 

成河さん「販促ですよこんなものは!!」

 

亀田さん「あなたは誰なの?(笑)」