いいえ、その日は舞台なので。

舞台へ通う金欠庶民の感想ブログ

新作歌舞伎【NARUTO−ナルト−】感想

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6/23昼 南座にて。

 

5月にシネマ歌舞伎でワンピースを観て「イナズマ役の方、美人さんだなぁ」と呟いたところ「その美人さんは中村隼人さんであり今度NARUTOでサスケを演じる」という情報が秒速で入り人生初の歌舞伎へ行くことになりました。ツイッターって怖いですね。

夜行バスで車中泊をして、仕事→観劇→仕事というセミハードなスケジュールだったのですが本当に行って良かった!関東で上演していたら(いやしていたんですが)リピートしていたと思います。とても良かった。

 

以下役と役者さんでざっくり感想。

 

ナルト/坂東巳之助さん

ワンピースでも役の幅の広さに驚いたのですがこれまた見事にナルトでした。愛らしくて格好いい主人公。13歳の時は13歳に、16歳になると少し大人びて見えました。10代の子が演じるのとはまた違う魅力や安定感があって良かったです。「ってばよ」をここまで自然に言うか〜と感心しました。どうでも良いんですが巳之助さんの“巳”の字が可愛いくて好きです。

 

サスケ/中村隼人さん

隼人さんがサスケを演じると聞いてああ、それはさぞお似合いだろうなと思ったのですが実際に観てもやはりお似合いでした。イケメンがイケメンを演じて水も滴るイケメンでイケメンだなぁ…という頭の悪い感想しか出て来なくて申し訳ない。

幼少時の声も隼人さんが演じるとは思っていなかったので声の切り替えにビックリしました。遠い記憶なので定かではありませんがアニメのサスケの声に似ている気がします。ワンピースの時も皆さん原作やアニメに寄せていたので今回もそうなのかな。

 

サクラ/中村梅丸さん

事前に「女の子に見えるよ〜」と聞いてはいましたが本当に声帯まで女の子なんですよ…正直原作のサクラよりも可愛かった。サクラとサスケのツーショット写真が軒並み売り切れていたのが印象に残っています。

 

大蛇丸、クシナ/市川笑三郎さん

ただの大蛇丸。実写。大蛇丸を演じる方ってなんでみんな喉にくじらさん飼ってるんですか?そして何故その喋り方で声が通るのか。

ガマブン太やカツユが置物のようなセットだったのに対しマンダは人力操縦(蛇踊りみたいなあれは何と呼ぶんでしょうか)で蛇のヌルりとした動きや禍々しさ、迫力が表現されていて良かったです。

 

綱手市川笑也さん

好き!!!!最高に好きな綱手様でしたありがとうございます。圧倒的美女。振る舞いも話し方も男らしさのある綱手を男性が演じて女性に見せるという摩訶不思議。ブチ切れモードのドスの利いた声を含めとにかく声が好きでした。

 

鬼鮫/安田桃太郎さん

鬼鮫のイタチに従順な所とかあのビジュアルで敬語キャラという所がとても好きなので生の敬語ーーあーーー鬼鮫ーーーあーーーってなっていました。後半に鮫肌の刀身を手で掴んでいましたが鮫肌って触っても大丈夫なんでしたっけ?認めた所有者なら食べないのかな。

 

 

人生初の歌舞伎で何も分からないままドキドキわくわくしていたのですが冒頭で上手の壁?から人が出てきたのがもう既に楽しかったです。あそこは『床』と言うんですね。歌舞伎の楽器や口上などで検索をしたら黒御簾音楽(下座音楽)が真っ先にヒットしたのですが黒御簾は下手にあるものだそうで、上手は…?と更に検索をして発見。歌舞伎は用語が多いので覚えるのが大変なイメージがありましたが、今回のように興味の持ったものを少しずつ覚えていくのは楽しいですね。

座席で飲食ができるのも幕間にお弁当が食べられるのも肩肘を張らずリラックスして楽しむことだけを楽しめるのでとても良かったです。他の劇場もこうだったらな、と思いますが今の時代少しでも隙があると一部の人に荒らされてしまうので中々難しそうです。

 

休憩時間も含め4時間弱の演目でしたが全く集中力が途切れずに観ることができました。お尻が痛くならなかったのは集中力のせいか南座の座席のおかげか。

というかまさか全編通してやるとは思っていなかったのでそこにとても驚きましたよ。みんなそんなこと言ってなかったじゃん!これめちゃくちゃ凄いことですよ!

NARUTOって結構シリアスなストーリーがあるので短く纏めると悲劇のオンパレードみたいになりがちで冷めてしまうのですが、今回はそんなことも無くブツ切り感も無くて自然な展開だったと思います。原作と違うところもありますがナルトの生き様や核の部分がきちんと汲み取られ大切にされていたと感じるので自分は気になりませんでした。

二幕からはサスケまじでほんとお前その顔面じゃなきゃ到底許されないぞ?という不満は溜まったんですが、それもラストバトルの本水で全て攫って下さいました。本当にありがとうございます。許されることならあの場でスタンディングオベーションがしたかった。水最高。

 

あの本水を観て「あれ?NARUTOってこんなにジャンプしてたっけ…?」と原作読了時から今まで感じていたモヤモヤが少し晴れた気がします。クソ展開だと目を回していたせいで視界が曇っていたのかも知れません。もしかしてNARUTOって物凄く王道の少年漫画なんじゃないだろうか。

原作以上に素晴らしいと思わせるのに原作が更により良いものだと感じさせる、完全にwin-winの舞台なので原作ファンにこそ観て頂きたいですね。