いいえ、その日は舞台なので。

舞台へ通う金欠庶民の感想ブログ

5/15【木の上の軍隊】アフタートーク


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5/15に行われた木の上の軍隊アフタートークの備忘録。

この日は沖縄復帰の日でした。

以下ネタバレを含みますのでお気をつけください。

 

登壇者(と服装)

上官:山西さん

半袖Tシャツ、半ズボン

 

新兵:松下さん

グレーのTシャツ、デニム生地のオーバーサイズのシャツ、黒スキニー、白スニーカー

 

語る女(ガジュマルに住み着く精霊):普天間さん

花柄(?)のカラフルなスカート

松下さん「可愛いスカートですね」

さらっとそういうこと言うのなんなん好き

 

 

キングオブ木の上と呼ばれている山西さん、再再演はいかがですか。

山西さん「初演の時に40ステージやってもう二度とやるもんかと思ったんだけど(笑)前回は会場がコクーンで、木ももっと大きかったんです。体力的にもキツかったし、藤原竜也のテンションがもう(笑)

再演を重ねてまた更に上官(のことを考える・演じるの)が面白くて好きです。早くやってくれれば次の再演も…」

 

松下さん「その頃には僕が…」

 

山西さん「いやなんでやねん!」

 

 

松下さんと普天間さんはいかがですか。

松下さん「初演の時はとてもプレッシャーがありました。藤原さんが演じられていた役を自分がやるというのもそうだし初のこまつ座さんで色々な思いがこもった作品なので。前回自分なりに精一杯演じて、もうやり残したことは何もない!と思ったんですがやっぱりあるもんですね(笑)新たな発見がありますし、こんな気持ちになるんだ…と思ったり。

問いかけつつ、演じる側としては1つの答えを出していきたいという気持ちもあるんです。でもライブ感というか…完成させない、完成を求めるものじゃないんじゃないかという気もしています。今そこいる、起こっている。そういうものを大切にしていきたいなと」

 

 

普天間さん、沖縄の方言で自己紹介と挨拶。

松下さんが共通語でこういう意味ですか?と確認。

 

普天間さん「正解です!流石!松下さんはとても耳が良くて方言がお上手。沖縄の友人も沖縄の男の子にしか見えないと言っていました」

「私は歌を生業にしているので演技をしたことなんて全く無いのに、このお話を頂いた時はそんなことは全部忘れて絶対にやりたい!他の人にやらせたくない!と思って(笑)この作品の後ろには20万もの亡くなった方たちへの鎮魂という意味もあって、次の世代にバトンを渡したい、政治とは違った側面から作品を通して伝えていく、その使命があると思っています。

前回は上官を見ているとわじわじする(イライラする・許せない)みたいな気持ちになったのですが、今回は上官と新兵、2人を助けたいんです。このガジュマルの木は全員を助けたかったんじゃないかな。人ではなく“戦”というものを憎んでいたんじゃないでしょうか」

 

 

再演にあたって以前と変わった部分はありますか。

山西さん「2013年とは社会の状況も変わってお客さんの共感が濃いと感じます。以前は可哀想だねってどこか他人事、対岸の火事という雰囲気があった。

上官が新兵に謝る場面で、前回はそれによって人間性を取り戻すような感じがあったんですが、今回は謝っている場合じゃないなって。もっと大変なことが起こってるぞって。だから今回は謝らない、理解が出来ないままの終わり方が相応しいんじゃないかという話をしました」

 

松下さん「前回よりも理解が深まっていると感じます。『何故戦うのか』『信じることしか出来ない』という言葉がありますが(新兵は)多くを理解した人間ではいけないなと。

上官の『お前ら』という言葉に対して前回は『は?お前らってなんですか!』と(怒りのような)気持ちがありましたが、今回は本当に分かっていない『お前らってなんですか?どういうことですか?』という。本土と内地で線引きがされていることすら知らないんです。

とても好きな台詞があります。『だけども知りたいという気持ちはあった』

これを新兵の方から言うっていうのがまた感慨深いですよね。本当に色んなことが見つかる作品だと思います。」

 

 

セットについて

山西さん「稽古場では板に棒があってロープを這わせているような…それがよくこれになるよなぁ。ラスト木が起き上がるのを見て栗山さんが『最初からそれでやったら?』って言うんですよ。いやいやいや殺す気か!って(笑)」

 

普天間さん「リアルですよね!本当にガジュマル生やしたの?って思うくらいリアル」

 

松下さん「木の“上”の軍隊も大変なんですが木の“下”の軍隊も物凄く大変なんですよ。(上半身だけ出している場面で)僕の靴ひも結んでくれたりしますからね!本当に凄いんです。この場に皆さんをお呼びしたいです(笑)」

 

 

沖縄公演について

山西さん「ずっと沖縄で出来たら良いねと言っていたので。最後に見える景色を忘れないようにしたいです」

 

松下さん「方言のことを含めプレッシャーはありますね。上演する会場、道路を挟んで向こう側が基地なんですよ。そこで上演してどんな反応があるのか。

今回のこの作品だけでなく、演劇としても良いものを届けたいと思いますし何か架け橋のようなことが出来たらと思います」

 

普天間さん「怖いです。決まった時は高揚感のようなものもありましたが、観た人がどう感じるのか?政治的なアピールをするものでは無いしきっと大丈夫。そう思いながらもドキドキです。

でもこんなにも沖縄のことを思ってくれていた人がいる、尽力をしてくれた人がいる。もっともっと沖縄を知って欲しい」

 

松下さん「無知だからこそ多くを学ぶ、自分に何が出来るのか?って」

 

山西さん「栗山さんのお言葉ですが『これは告発をする劇ではないんだ。そこに人がいたこと、それを知る。そしてそれをみんなが持って帰る』そういうことが大切なんです。

劇中に“日本”とか“沖縄”という言葉は一度も出て来ません。つまりこれは普遍的な話なんです」

 

 

 

3人の降壇後に井上麻矢さんから沖縄公演(?)についてのクラウドファンディングがあるというお話がありました。

詳細は後ほど発表されるようですが、劇場で受け取った気持ちをそのまま行動に移せるのはとても嬉しいことです。続報をお待ちしています。